以前も記載致しましたが、電子帳簿保存法の改正は主に
①電子帳簿保存の条件緩和
②スキャナー保存の条件緩和
③電子取引のデータでの保存の義務化
の3つがありますが、今回は最後に③電子取引のデータでの保存の義務化を詳しく解説していきます。
1. そもそも電子取引ってなに?
『電子取引』とは、取引情報の授受をデータにより行う取引をいいます。
この取引情報とは、取引に関して受領し、又は交付する注文書、契約書、送り状、領収書、見積書などのことをいいます。
具体的には、いわゆるEDI取引(ネットバンク取引)、インターネット等による取引、電子メールにより取引情報を授受する取引(添付ファイルによる場合を含む。)、インターネット上にサイトを設け、当該サイトを通じて取引情報を授受する取引等をいいます。
(具体例)
①インターネットのHPから取得する請求書や領収書などのデータ(Amazonや楽天等で購入した備品の領収書など)
②クレジットカードの利用明細(紙で明細の届かない場合)
③交通系ICカードの利用明細(Suicaなど)
④インターネットバンクに係る記録
⑤ペーパーレスになっているFAXの記録
⑥DVD等で受領する請求書及び領収書
2. 今回の改正点
21年12月までは、上記の電子取引に係るデータを受領した場合には、ほどんどの企業では紙に出力し、その他の紙で受領する請求書等と同様に整理していたのではないでしょうか?
22年1月からは、上記の電子取引に係るデータについては、紙に出力し保存することが認められず、すべて電子データで保存することが義務化されます。
(これは極端なことを言ってしまえば、紙に出力して保存していても、電子データを保存していない場合には紙の領収書や請求書を廃棄し保存していない場合と同じということです。)
→21年12月において、『日本全国的に事業者の準備ができていないこと』などを理由に当該義務化を2年間宥恕(延長)することが発表されました。
3. 2024年1月までに取るべき対応
①ソフトを導入せずデータを保存する場合
電子取引に係るソフトを導入せず、電子取引のデータでの保存を実施したい場合には、下記の要件を自社内で満たすことが必要になります。
(1)タイムスタンプの付与若しくは規定の整備
(イ)タイムスタンプが付された後、取引情報の授受を行う。
(ロ)取引情報の授受後、速やかに(またはその業務の処理に係る通常の期間を経過した後、速やかに)タイムスタンプを付すとともに、保存を行う者又は監督者に関する情報を確認できるようにしておく。
(ハ)記録事項の訂正・削除を行った場合に、これらの事実及び内容を確認できるシステムまたは記録事項の訂正・削除を行うことができないシステムで取引情報の授受及び保存を行う。
(ニ)正当な理由がない訂正・削除の防止に関する事務処理規定を定め、その規定に沿った運用を行う。
(2)見読性の確保
保存しているPCにディスプレイ・プリンターを備え付けること
(3)検索機能の確保
(イ) 取引年月日その他の日付、取引金額その他の国税関係書類の種類に応じた主要な記録項目を検索の条件として設定することができること。
(ロ) 日付又は金額に係る記録項目については、その範囲を指定して条件を設定することができること。
(ハ) 二以上の任意の記録項目を組み合わせて条件を設定することができること。
(参照:国税庁電子帳簿保存法が改正されました)
②ソフトを導入する場合
電子取引に係るソフトを導入せず、電子取引のデータでの保存を実施したい場合には、上記の要件を自社内で満たすことが必要になりますが、実務的にはソフトウェアを使用せず対応することは難しい(少なくとも事務手間は膨大になることが予想されます)ため、下記のようなソフトを導入するすることを推奨致します。
(1)クラウド会計ソフト
(2)電子請求書保存専門ソフト
また、上記のようなソフトを導入した場合でも、電子取引に係るデータの取扱に関する規定の整備や、従業員への周知など様々な作業が必要になります。
電子取引のデータでの保存の義務化などでお困りの場合には、ぜひ佐田税理士事務所までお問い合わせ下さい。
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